ミニキャラアイコン依頼の進め方②

ミニキャラアイコンのご依頼におけるラフ制作やチェックフローなど、納品が完了となるまでのやりとりを実例を基にまとめるコラムの第2弾です。

特に個人の方からのご依頼の進め方に悩むイラストレーターにとって、役に立つものになれば嬉しいです。

今回のご依頼の内容

 

ゲーム実況動画で使うミニキャライラストと表情数パターンを制作してほしいです!
元となる普通等身の男性キャラクターイラスト(顔のみ)があるので、それをベースにミニキャラ化をお願いします!

 

 
ほのかぜ
お声がけいただき、ありがとうございます!
早速、詳細なヒアリングを進めてまいります!

詳細ヒアリング

確認すべきこと

  • 仕上がりのイメージの共有
  • 納品フォーマットのすり合わせ
  • どんな表情が何パターン必要か
  • ご希望の表情はいわゆる表情差分なのか、新規描き起こしなのか

 

 
ほのかぜ
ポーズは同じでパーツを変えるだけの表情差分と、表情に合わせてポーズから新規で描き起こすのだと工数が全然違うので特にその点を確認しなきゃ!
 

 

以前作成したアイコンの仕上がりサンプルを基に諸々まとめてご確認いただきました。
この時、気を付けているのが、なるべく画像にまとめてイメージしやすいものを提示して、認識の齟齬が出ないようにするという点です。
ここを面倒くさがって文字だけで確認したつもりになっていると、後で認識ずれによるトラブルになることがしばしばあります。

 

 

 
ほのかぜ
画像で確認する習慣はめちゃくちゃ大事!
以下の内容で制作することとなりました。

 

制作物の内容

  • 仕上がりイメージはサンプルの感じでバッチリ!
  • 納品形式は1500×1500のPSDファイル (プレビュー用にPNG)
  • デフォルトの斜め立ちのポーズを1枚+そこからの表情差分6枚
  • 腕を組んで怒っている新規描き起こしの表情を1枚

 

 
ほのかぜ
料金をお振込みいただいた後、作業スタートです!
 
※今回の記事ではお見積りについては省略します。
 

ミニキャラ化のデザイン作業

まず最初に取り掛かるのは元イラストからのミニキャラ化です。
こんな感じのラフを初稿としてチェックいただきました。

 

黒く塗っているところには元のイラストや、フォートナイトの魚の画像を貼っていたりします。
WEBなどに公開するのは絶対ダメですが、お客様とのクローズドなやりとりの中で、参考画像を提示しあうのは積極的に行ったほうがいいです。
お互いのイメージのずれが起きづらくなるため、お客様に満足していただける確率がぐっと上がります。

 

デザインラフ初稿に頂いたフィードバック

  • ①のデザインでお願いします!
  • 表情をもう少し柔らかくしてほしいです!
  • 最終的に足はなくて大丈夫です!

 

上記のフィードバックを反映したラフの第2稿が以下になります。

補足ですが、チェック時はなるべく2~3案提出したほうがいい(特に制作初期)です。1案だけだと、人はどう判断していいか迷ってしまい、何か違うと思っていても意見としては出てこないことがあります。大変に思うしれませんが、お客様が要望を出しやすい状況をつくるのも仕事で求められるスキルの一つなので、ここは頑張ったほうがいいポイントです。

 

 
ほのかぜ
1案のみで進めて最後に大きな要望が出てしまったら、その方が大変ですよ…!

 

 

デザインラフ第2稿に頂いたフィードバック

  • Aの少し柔らかいやつでラフOKです!
  • 塗り、仕上げ作業おねがいします!

 

無事、2テイクでラフが確定しました。最終的に足は不要とご連絡いただいていましたが、一旦このまま仕上げて、仕上げ後に改めて確認することにしました。足を描かないことにしたところで大きく労力が変わるわけではなく、逆に描いてる時にバランスとりづらくなりそうだったのと、動画に組み込んだ時、余分があったほうが動かしたときに断ち切りが出ずに良いと思いました。

 

 
ほのかぜ
足はいつも悩むのですが、素材として大きめに取っておいて後でトリミングすればいいやって感じで考えてます。
 

デフォルトポーズの仕上げ

仕上げは最初に提示したサンプルに準拠したものを初稿としてチェックしていただきました。

 

 
ほのかぜ
この時、足の件もトリミングしたものを確認してもらいました!
 

デフォルトポーズ_仕上げチェックに頂いたフィードバック

  • 髪の毛もう少し暗くしてほしいです!
  • ラフのマットな感じがすごく好きなので、全体的にマットにできたりしますでしょうか…?
  • 腰から上のみのトリミングはせずに足も残してください!

 

 
ほのかぜ
やっぱり足は残したほうがいいよね!
マットな感じというのがやや悩みながらも、ハイライトや明部の諧調を1段階無くす感じで試してみました。
 

 

 
ほのかぜ
仕事絵は基本色、影、明色、ハイライトなどでレイヤーを分けておくとこうした調整がとてもしやすいです。
 

デフォルトポーズ_仕上げチェックに頂いたフィードバック

  • 一番右がすごくいい感じです!これでお願いします!

 

無事、デフォルトポーズの仕上げが完了したので、こちらで納品データを出力し、1枚目の作業完了となります。

 

 
ほのかぜ
マットな風合いも、フードを被ったミニキャラも今までの自分にない表現だったので、とても良い経験になりました!

 

表情パターンのラフ作成

表情の作成ですが、1つ1つ仕上げていくよりも今回作る全表情をいったんラフで書き出して、キャラクターのイメージを固めたいと思いました。

 

 
ほのかぜ
デフォルトポーズを仕上げている間にお客様にどういった表情が欲しいのか箇条書きで出してもらい、もし、具体的な参考イメージがあるのであれば共有いただけるようお願いしていました。それらを基に書き出したラフが次のものです。
 

こちらもデフォルトポーズのラフと同様に下部の黒いところには各表情ごとの参考イメージを貼っています。ここまでのチェック画像でわかるように、1枚で関連画像と比較しながらチェックができるようにまとめるようにしています。私が会社の仕事などでチェックする側の時も、こうなっていたほうがチェックがしやすいためです。

 

 
ほのかぜ
私もチェックする時にばらばらで提出されると結構しんどいんですよね…。なので、提出する際は自分がありがたいなぁって思う形を意識してます!!
 

表情パターンラフ_初稿に頂いたフィードバック

  • 上段全部でお願いします!
  • 追加発注で右下の腕組怒りのBも欲しいです!

 

 
ほのかぜ
追加発注ありがとうございます!!
描いたものを気に入っていただき、追加発注というケースはとても嬉しいです。
 

無事、表情パターンのラフも確定することができました!
あとは一つ一つ丁寧に仕上げていきます。

 

表情パターンの仕上げ

他の仕事もあったので、1週間で表情差分6種、次の1週間で腕組怒りの新規表情1種+表情差分1種というペースで分割して仕上げました。
表情の仕上げについてはどれも1発OKを頂くことができました!

総括

全イラスト納品後、「今後、表情を追加したくなったら、また相談させてほしい」というお言葉もいただき、ご満足いただけたかなと感じております。
お客様に喜んでいただけたのはもちろん、自身の経験としても新しいタッチを身につけられたのがとても良かったと思います。

最後に今回の記事でご紹介したスムーズに依頼を進めるためのポイントをまとめてみました。

 

スムーズに依頼を進めるためのポイント

  • 言葉ではなく、画像でイメージのすり合わせをするとズレが起きづらい!
  • 2~3案提示することで、お客様の要望を引き出そう!(特に初期)
  • チェック画像は1枚にまとめて、関連画像と比較チェックができるようにしよう!
  • 表情はまとめてラフを描いてキャラのイメージをすり合わせよう!
  • ご要望に対応できるように予めレイヤーは分けておこう!

 

私はこのあたりのことを会社の仕事の中で学びました。
個人の仕事でもこうして糧となって、役に立っているのはとても嬉しいです。よかったら、一つのやり方として参考にしていただけますと幸いです。

 

 
ほのかぜ
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
いろいろなやり方があると思いますが、お客様に喜んでいただきながら、自身も楽しくイラスト制作していきたいと思います!
 
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